SPC道路橋
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NETIS新技術情報提供システム登録/旧NETIS番号QS-030048
上フランジ内に鉄骨を配置し、その両端に外ケーブルの反力をとることにより断面内に張弦構造を形成、中立軸を大きく下げることを可能にしました。また、剛性が向上し、PC鋼より線による緊張で乾燥収縮の抑制等に大きな効果があります。
SPC道路橋とは?
SPC道路橋は、プレストレスト・コンクリート桁断面の圧縮側に形鋼などの鋼材を配置して桁高を低減するSPC工法の技術を活用した、合理的で機能的な道路橋です。桁高を低減することによる優位性としては、単純桁形式でも長支間化が図れること、自重を軽減できること、架設が容易になること、桁下空間を大きくできること、橋面を低くできること、プレキャスト化が容易になること、などが挙げられます。これらの効果によって、防災や環境に適した道路橋を合理的に建設することが可能となります。
PC道路橋の特長
- SPC橋は50m超の長支間が可能で、橋脚数の低減化が図れ、豪雨災害等に強く経済的
- 架設地点の桁高制約下においても低桁高が可能(桁高/支間=1/25~1/30)
- 工場制作によるセグメント化で高品質の桁製作が可能で、現場作業が少なく工期の短縮が図れる
- 主鋼材に、防食PC鋼材のSCストランド、SCアンボンド鋼材を用いて高耐久化を実現
- 桁端部の桁高を絞った変断面桁の製作が可能であり、取付道路の高さ制限を受けにくい
- 多径間の橋梁の場合、主桁の連結化が可能であり、目地も少なく、耐震性の向上が可能
- 現場打ち構造(箱桁橋、中空床版橋、斜張橋)のSPC橋への対応も可能
SPC道路橋の試験結果(FEM解析)
解析目標
応力伝播状態を把握し局所的な応力集中や許容値を上回る応力が発生しないことを確認する。また、セグメント桁とすることでブロックの接合部(圧着部)も重要な意味をもつことから、別途詳細な解析を行う。
確認項目
- 活荷重載荷時の桁断面内における圧縮域の応力状態
- 内蔵された鋼材に対しての応力集中状態
- 圧着面(接合部)におけるせん断応力状態
- せん断面周辺のコンクリート応力状態
中央部10mを実橋と同様に再現し、その他の部分については等価剛性、等価質量をもつソリッド要素とする。(左図: 解析モデル)
解析物性一覧表
設計計算と解析値の比較
γ(kN/m³) | E(kN/m²) | ν | |
---|---|---|---|
コンクリート | 24.5 | 33,000,000 | 0.2 |
スチール | 77.0 | 210,000,000 | 0.3 |
PC鋼材 | - | 210,000,000 | - |
設計計算と解析値の比較
桁上縁応力 | 桁上縁応力 | |
---|---|---|
設計値 | 14.025 | 4.021 |
解析値 | 15.492 | 8.493 |
許容値 | 0.000<σ<16.000 |
試験結果
設計計算よりも若干大きめの値を示したものの、許容値を外れるような個所はない。
SPC道路橋の試験結果(実橋計測)
測定方法
- 製作の段階から桁内にひずみゲージを図のように配置する
- ひずみゲージに対して温度による修正をする
- 緊張時計測の前後40時間を1時間おきに自動計測とする
- テストピースを1週間ごとに4週間まで静弾性係数試験を行い、得られたヤング率を反映させる
計測器設置位置図
下端設置状況
上端設置状況
SPC道路橋の施工事例
桁高支間比1/27の実現【跡ヶ瀬大橋】
跡ヶ瀬大橋 | |
---|---|
道路規格 | 第3種4級 |
設計速度 | 20km/h |
道路幅員 | 3.25+3.25+2.0=8.50m |
荷 重 | A活荷重 |
橋 長 | 52.100m |
桁 長 | 51.900m |
支間長 | 50.900m |
構造形式 | SPC合成橋梁(外ケーブル方式) |
架設方式 | エレクションガ-ダー |
PC鋼材 | SCストランド |
定着体 | KTB定着具 |
ごみ燃料化処理施設への搬入路として施工され、2002年7月5日に完成しました。桁高は河川の水位の影響で2m以下とし、また合流部のため橋脚の設置が不適当で あり、52.1mを1スパンで架設する必要がありました。このような条件をクリアし、コスト的な問題や施工性にも優れた、SPC道路橋が採用されました。